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01 踊りの家に生まれて。舞踊家と共に会社員を続ける理由|日本舞踊中村流 中村梅が語る、夢の追いかけ方 [後編]

9/26/2016

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1700年代から続く日本舞踊中村流、八代目家元の二世中村梅彌さんの娘である梅さん。前編では舞踊家としての原点や会社員を続ける理由についてお伝えしました。後半ではさらに踏み込んで、これから先の創っていきたい未来について伺いたいと思います。
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どんな舞踊家になっていきたいと思いますか?


この世界にいる方は芸にのめりこみ、そして常に芸を磨いていらっしゃるプロフェッショナルな方ばかりです。その方々はこれからもいなくてはならないんです。のめりこむから、いい芸ができる。古くから伝わる芸が継承される。その一番身近な存在が、母です。

私はそんな母を超えられないと思っていて。母はいつでも尊敬する存在ですが、芸にのめりこむ母を見てきて、その反面で父はビジネスをやれというし、そんな環境で育ってきた自分としては、舞踊会のトップにはなれないけど、様々な世界を見ながら様々な視点を取り入れていく舞踊家になりたいと思ったんです。そんな人も中には必要だと思っていて。

母と同じ道ではないかもしれませんが、踊りの世界を良くしたいという気持ちは同じで、踊りに対しての尊敬の念は変わりません。今はまだお仕事もしながら踊りをしていますが、いずれは本業で、きちんとしたお金を生めるビジネスにして、今まで踊りを知らなかった方々に伝えていきたいと考えています。

他の伝統芸能でも同じだと思いますが、公演をしてもなかなか初めての方を集められなくて、なかなかビジネスとして成り立たせるのはむずかしいんですよね。
生生しいですが、お金がまわっていったらもっといい舞台・人のいい育成ができるようになっていくと思っています。そのためにも、もっと知らない人達に知って見て好きになってもらわないといけないのだと思うんです。踊る側も見る側も、もっと若い人が増えてほしいですし、非日常かもしれないけれど、楽しめるような世界にしたいですね。そんなことを実現できる舞踊家になりたいです。

​踊りの世界を良くする、そのために今していること・したいことはありますか?


最近、よくいろんな人と繋がるようにしています。もっと外の世界を知りたいと思っていて。会って話すと、みなさんこの世界の存在とそれが素晴らしいものであろうということは知っているけれど、中身を全然知らないから知りたい・とても楽しそうと言ってくれて、踊りを見に来てくれる人もいます。
その方々からいただけるご意見がとても新鮮なんです。私達、中にいる人間では分からないような捉え方や考えを持たれるんですよね。

その度に思うのは、絶対にこう伝えなくてはならないなんてものはないはず、ということ。伝え方が異なっても、人によって感じ方は異なりますし、面白いと感じてもらえたらそれでいいと思うんです。そうしないと、この踊りの世界はなくなってしまう。

ただ、何も知らない方に知って見てもらうのはとてもむずかしいです。なら、最初からこういった世界を好きな人・興味を少しでももっている人に届けたいと思うんです。好きだったり興味があっても、中身については細かすぎて全然知らないものです。でも、まず好きな人がもっと知ったら、もっといい世界になっていくと思います。これを30歳までに実現していきたいです。

実際、知ってもらえたら好きになれる・もっと興味を持ってもらえる踊りや曲って、たくさんあるんですよ。
例えば、道成寺。踊り手からすると、本当に誰しもが憧れるような演目です。これは道成寺伝説という伝説に基づくストーリーなのですが、簡単に言うと、あるお坊さんがいて、とある女の人に一方的に恋をされるんです。けれどお坊さん側はその女の人のことが特に好きじゃない。ストーカー的に追いかけられて逃げていくんですね。そこで道成寺というお寺に逃げ込んだ際にその女の人はばれないように白猫子(踊り子)に扮して入っていったりと攻防が続くんです。
最終的には、お坊さんはお寺の鐘の中に逃げて、女の人は蛇に変身してその鐘に巻き付いて鐘自体を燃やしてお坊さんを殺してしまうという、女性の執着心を題材にした物語なんです。
これ、かなり今の映画やドラマでもあるような内容じゃないですか。しかも、こちらの演目ではその道成寺を様々なバージョンで行うんですね。例えば切支丹道成寺とか。これはそのままキリシタンがこのストーリーをなぞらえて演じます。

踊りには1つ1つすべてに意味があって、様々なものと関連性があります。切り取り方で何通りもの楽しみ方がありますし、敷居が高い世界ではなく、自然と日常に見る/行うものであってほしいと思うんです。もちろん踊りだけではありません。日本の文化全体に言える話だと思います。

別にダサい、つまんないと思ってもいいですし、固くならずに、そして考えを正そうとしなくていいんです。説明を聞いて面白かったら面白いと思って見て欲しいし、面白くなかったら面白くなくても良いです。興味があるのならやってほしいし、無理矢理興味をもたせる必要がなくても良いんです。
もし面白いと思ったら、好きかもと思ったら、興味をもったらぜひお話させてください。我々とは異なる世界の方とたくさんお話をして、新しい踊りを創り広めていきたいです。

[日本舞踊 中村流詳細] 
文化・文政期に活躍した歌舞伎役者である三代目中村歌右衛門を流祖とする流儀。
歌舞伎の成駒屋の役者が代々家元を継承しており、歌舞伎所作の本筋を重視しているのが特徴である。平成24年より、先代家元七代目中村芝翫の遺言により芝翫長女二代目中村梅彌が家元を継承。宗家に九代目中村福助、相談役に三代目中村橋之助(平成28年10月より八代目中村芝翫)。
9月16日(金)23時~ NHK Eテレ「にっぽんの芸能」に中村梅が「たけくらべ」にて出演。
10月、11月歌舞伎座にて、三代目中村橋之助改め八代目中村芝翫、中村国生改め四代目中村橋之助、中村宗生改め三代目中村福之助、中村宜生改め四代目中村歌之助を襲名し、初の親子4人同時の襲名披露興行を行う。

http://www.nakamuraryu.jp/

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「母親とは違う新しい道で新しい踊りの世界の創造を目指す。」梅さんの目指す先は、少し意外なものでした。
まだ初回ですが、これから伝統の波を受け継ぎ次世代の日本を牽引する、20~30代の様々な方々のインタビューを続けていきます。いずれこのインタビューを受けていただいた方々で力を合わせ、未来へと続く日本の文化を創っていきたい、そう強く思うお話でした。

Interviewers : Kaoru・北村勇気
Photographer :土屋文乃
Place : 中村流お稽古場(神楽坂)
Sweets : 梅花亭(神楽坂)

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    -List-
    01 日本舞踊中村流 中村梅が語る、夢の追いかけ方 [前編]
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    ​01 日本舞踊中村流 中村梅が語る、夢の追いかけ方 [後編]

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